フランツ・ウェルザーメスト

2007年6月23日 (土)

半月ほど前の朝日新聞のニュース。次のとおりである。

オーストリア文化省は6日、任期が2010年夏に切れるウィーン国立歌劇場音楽監督の小澤征爾氏(71)の後任に、オーストリア・リンツ出身で米クリーブランド管弦楽団音楽監督のフランツ・ウェルザーメスト氏(46)が就任すると発表した。

ベルリンフィルのアバドからラトルへの交代も驚いたが、小澤からウェルザーメストへの交代は私には意表を突くものだった。

最近の私の聴く音楽は古楽器ばかり。モダン楽器のシンフォニーオーケストラの音楽はほとんど聴かなくなってしまった。いったん古楽器のニュアンスと表現の豊かな世界を知ってしまうと、ダイナミックレンジに依存しているモダン・シンフォニーオーケストラの音楽は少々疲れてしまう。そしてモダンオーケストラの弦楽器の、私には過大と思われるヴィブラートも耳障りである。

そうはいっても古楽器がメインになったのはここ3,4年であり、それまでは何の疑問もなくシンフォニーを聴いていた。ただ聴いていた音楽は少々一般的ではなく、フランス近代・現代音楽、ペルトなどのヒーリング系音楽、ライヒなどのミニマルミュージック系音楽である。

そのヒーリング系音楽のCDの中で10年ほど前に買ったCDがこのCDだった。内容は次のとおり。

ペルト&カンチュリ/交響曲第3番
ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団 (演奏), ペルト (作曲), ウェルザー=メスト(フランツ) (指揮), ジェームス(ディビッド)

指揮が、本日の話題のウェルザーメストだ。私が持っているウェルザーメストのCDはこの1枚のみである。

その演奏は非常に透明感があり、冷徹な音楽である。各声部の分離が非常によく、すべての音がにごり無く聞こえてくる。非常に集中力のある演奏なのだが変化に富んでいるため聞き手を疲れさせない。

この感想はCDを購入した当時の感想だが、このブログのために再度聞いた印象も全く同じだった。当時の感想に加え、不協和音が非常に美しいことに気が付いた。不協和音とはまさに綺麗に響かない和音なのだが、それが美しいのだ。

また金管楽器の奏法にも特徴のあることに気が付いた。アタックが非常に丁寧で、アメリカ流(ペケペケ)アタックの逆だ。そして音をまっすぐに伸ばし、最後に丁寧に減衰する。そのルールを厳密に守った演奏なのだ。このことは音楽の透明感に非常に貢献していると思う。

数年前にCS放送のクラシカ・ジャパンでウェルザーメストのドキュメンタリーを見たが、ウェルザーメストは非常に知的な雰囲気の人物だった。まさにそのとおりの演奏と言えよう。

私はウェルザーメストの演奏はこのCDしか知らないので、他にどのようなCDがあるのか調べてみた。
CDリストのとおりである。

レコーディング枚数は多いとは言えず、曲目はそれほど特徴が無い。ウェルザーメストは歴代のウィーン国立歌劇場音楽監督と比較して最も「有名ではない」音楽監督かもしれない。しかし私ですらCDの最初をちょっとを聴いただけでウェルザーメストの才能はわかった。10年前にCDを聴いて才能を感じた指揮者がウィーン国立歌劇場音楽監督就任決定に嬉しく思う。2010年からのウェルザーメストの演奏に非常に期待している。

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