アニムス=クラールス室内管弦楽団・合唱団演奏会

2005年12月17日 (土)

次の演奏会を聴いた。

Animus Clarus

アニムス=クラールス室内管弦楽団・合唱団

第11回演奏会

オール・ゼレンカ・プログラム

~アウグスト強王時代のドレスデン宮廷音楽~

ヤン・ディスマス・ゼレンカ

Jan Dismas Zelenka (1679-1745)

●7声の「ヒポコンドリー」イ長調

Hipocondrieà 7 concertanti A-dur, ZWV187

●ミゼレーレハ短調(詩篇第50番)

Miserere c-moll(Psalm 50), ZWV57

●聖三位一体のミサ曲イ短調

Missa Sanctissimae Trinitatis a-moll, ZWV17

2005年12月17日(土) 15:00開演

浅草教会

指揮・チェンバロ:三重野清顕

アマチュアの室内オーケストラ・合唱団である。私は初めて聴く団体である。チェンバロの三重野氏がチェンバロを弾きながら指揮をするスタイル。変わっているのは楽器で、トロンボーンは古楽器(サックバット)であった。しかしピッチはモダンピッチ。珍しいことにテオルボ(低音リュート)が入っていた。他はモダン楽器。

楽器が普通でない上、プログラムも尋常ではない。すべてゼレンカの曲という、プロ団体ではあり得ない選曲。

ゼレンカは上記プログラム記述のとおり1679年生まれなので、大バッハの6才年上という事になる。ゼレンカの曲で恐らく一番有名なのは、「2本のオーボエとファゴットのためのソナタ(全6曲)」だろう。このソナタはオーボエ吹き泣かせの難曲として有名らしい。今日聴いた3曲は、私は初めて聴く曲だった。このような珍しい曲を演奏する際にはパート譜に苦労すると思うが、見たところ手書きのパート譜と、スコア拡大コピー切り貼り譜だった。自分たちで楽譜を作るとは大変なエネルギーを持った団体である。

初めて聴くゼレンカのこれらの曲は、特に前半の2曲は和声が面白かった。半音階もあり、多彩な曲だった。またメインのミサは壮麗な大曲。18世紀前半の曲というと大バッハを思い浮かべるが、ゼレンカを聴くと大バッハの音楽は当時時代遅れと見做されていたことが実感としてわかる。

さて演奏だが、場所の問題が大き過ぎで本来の持ち味があまり出ていなかったと思う。場所は教会だが天井が低く、客席数も100ちょっと。その狭い空間なのにオケは良く鳴るオケなので、聴いていて疲れる場面もあった。プログラムを見ると、この団体は今まで三鷹氏芸術文化センターなどの音響に優れたホールで演奏してきたようだ。本日も音の良いホールで聴きたかった、ということが最初の感想である。

指揮の三重野氏は指揮よりもチェンバロの演奏がメインとなっているようで、オケへの指示が細かくは行き届いていなかったと思う。狭い空間でオケが鳴りすぎているためかなり強く押さえなければならない場面でも、それが出来ていなかったのは残念である。プログラムノートは三重野氏の筆。それを読むと彼は音楽学をよく理解していることが良くわかった。そしてチェンバロの腕も一流である。しかし状態の悪いホールでチェンバロを弾きながらの指揮は、三重野氏といえども少し無理があったように思う。

全般に管楽器は非常に良かった。特にオーボエは、音色は私はあまり好きではないが好き嫌いは別にして技術レベルは大変高かった。またフルートは、ノンヴィブラートに徹したことに敬意を表する。フルートという楽器はロングトーンでもヴィブラートをかけるのが当たり前なのにそうしないということは、大変な努力を要するはずだからである。

それにしてもこの団体の目指す方向が良くわからなかった。楽器は一部に古楽器が入り、チューニングも古典調律のようで弦を1本づつ調弦している。しかし演奏は、ほとんどの弦楽器メンバーは通常のモダンオケでシンフォニーを演奏している演奏スタイルだったように思う。具体的には音の減衰が少ないため、古典的響きに乏しい。音がうるさく感じたのも減衰の少なさに起因している部分もある。このオケは、演奏スタイルも古楽器的方向を目指すのか、逆に古楽器が入っていてもモダン楽器の特徴を全面に出した演奏を目指すのか、その方向が私にはよくわからなかった。

最後に演奏とは関係ない苦言を2つ。ホームページには演奏会の場所の地図を掲載してもらいたい。近所にほとんど同じ名前の教会があるため、どちらか判断できなかった。それから、プログラムには出演者の名前を掲載していただきたい。

この団体はメンバーは若く、若いエネルギーに満ちている。そしてユニークさは真似できない。この団体の今後に非常に期待している。

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