カテゴリー:音楽一般

楽器挫折者ではないけれど

2007年6月6日 (水)

数日前の朝日新聞で見た記事で、日本旅行が夏に「楽器挫折者救済合宿」なる企画を催すそうな。日本旅行サイトを調べたところ、楽器挫折者救済合宿である。楽器挫折者を対象とし、千葉県の廃校を利用した2泊3日の音楽合宿で、最終日は発表会もあるそうだ。音楽の対象はポップス系バンドのようである。朝日新聞の記事が功を奏したのかドラムスは定員になったとか。

私はクラシック・バロック系愛好家でかつ楽器挫折者ではないのでこの企画とは無縁だ。ただこの記事をきっかけに、私がどんな楽器をやりたいのか、考えてみた。

先ずはヴァイオリン。小さいときに少しだけやっていたが、小学校5年生のころ、レッスンについていた先生が替わり指導が厳しくなり、嫌になって辞めてしまった。いつかまたやってみたいと思っており、あと数年後に始めるつもりである。使用予定楽器もいま飾りとして壁に架かっている。自分としては1年くらいレッスンを受け、それから市民オーケストラに入ってセカンドヴァイオリンの後ろの方で弾くつもり。と言うと、アマチュアヴァイオリン弾きの家族は「才能無いよ」との答え。

次にやりたいのは、楽器ではなく歌。それもカウンターテナー。ドミニク・ヴィス、マイケル・チャンスのファンである私は数ヶ月の合唱経験しかないので声楽は未経験に近いが、これもプロのレッスンを受けてチャレンジしたい。(なおカストラートではないので念のため。)

その次はリコーダー。やはりバロック愛好家としては必須の楽器だろう。ヘンデルの合奏協奏曲の緩徐楽章のリコーダーソロ程度は演奏できるようになりたい。

そして最後は、バロック音楽とは無縁の電子楽器であるテルミン。演奏している姿は手をヒラヒラするだけ、という、楽器演奏にはほど遠い格好である。音はオンド・マルトノに似ていて電子楽器なのに柔らかい。テルミンのドキュメンタリーをCS放送のクラシカジャパンで見て、やりたくなった。この楽器にピッチはないから、バロック楽器とピッチ415Hzでデュエットをやったら面白いだろう。

番外としてバンドネオンもやりたいが、これはかなり難しい楽器のようなので無理かもしれない。チェンバロもやりたいが、指が固まってしまってもう無理だろう。

上記のヴァイオリン、カウンターテナー、リコーダー、テルミンは、数年後から1年交代で順番に循環でやってゆくつもりである。そのときこのブログがまだ存在していれば、各レッスン過程を記事にしたいと思っている。

ジンマン指揮/チューリッヒ・トーンハレ管のシューマン

2006年1月16日 (月)

昨晩何気なくCS放送のクラシカ・ジャパンを見たところ、シューマンの交響曲を放送していた。

シューマン:交響曲第3番変ホ長調『ライン』[指揮]デイヴィッド・ジンマン[演奏]チューリヒ・トーンハレ管弦楽団[収録]2003年10月トーンハレ(チューリヒ)、約34分

シューマン:交響曲第4番ニ短調[指揮]デイヴィッド・ジンマン[演奏]チューリヒ・トーンハレ管弦楽団約34分

私が見たのは「ライン」の途中から。バロック音楽好きの私なので「何だ、またロマン派の曲か」と少々がっかりし、聞き流していた。

ところが。。。普通のシューマンと全然違う。すっきりとして、すべての線が見えてくる演奏である。非常に音楽の流れがあり、さわやかなシューマン。こんな演奏は聴いたことがないため、引き込まれていった。

シューマンの交響曲は、演奏が非常に難しい。ユニゾンが多く、必要な音が埋もれてしまい聞えてこない。いつも厚ぼったく、もやもやとし、洗練の逆の音楽になりがちである。ベルリンフィルやウィーンフィルというような超一流のオーケストラでどんなに良い指揮者でも、この傾向からは免れることはできない。

ところが、デイビット・ジンマンというそれほど有名ではない指揮者と、歴史はあるが現在ではそれほど一流とは見做されていないチューリッヒ・トーンハレ管弦楽団という組み合わせが、その「シューマン演奏の常識」をくつがえしたのだ。

このジンマン/チューリッヒ・トーンハレ管の演奏の秘密は、古楽器的演奏にあった。フレーズを短く考え、フレーズの終わりは必ず減衰し、そのフレーズ最後の音と次の音の頭の間には隙間を設けている。この隙間は、通常考えられる字時間より長い。それをすべての場所で徹底している。そのため、演奏がすっきりし、音楽の線が良く見えてくるのだ。

またリズムが厳密で、まるで古楽器オケのようだ。バロック音楽は自由な音楽、と考えている人が多いが、それはバロック音楽の一面であり、実はバロック音楽はリズムが実に厳密が音楽である。それを演奏する古楽器オケは、当然リズム感は通常のモダンオケより良い。彼らは恐らく0.005秒の長さを意図的にコントロールできる。ジンマン/チューリッヒ・トーンハレ管のリズム感は古楽器オケに匹敵するすばらしさだった。

音程も、先日聴いたベルリンフィルベルリンフィルって下手になった?よりずっと良かった。

楽器については、トロンボーンは、その古楽器であるサックバットであった。しかしトロンボーン以外はモダン楽器に見えた。

私の見た限りでは、ホルンは通常のフレンチホルン。しかし4番終楽章のホルンのファンファーレは音を割り切っていてほとんどウィンナホルンかナチュラルホルンの感じではあった。

トランペットはナチュラルではなくロータリートランペットだった。ティンパニもモダンではあったが、バチは通常は使わないような固い小さなバチだった。

また古楽器的演奏といえば弦楽器のノンヴィブラートが想起されるが、この演奏ではちゃんとヴィブラートはかかっていた。控えめではあったが。

また、シューマンのシンフォニー演奏では通常考えられない装飾音が付けて有り、笑ってしまった。指揮のジンマンもそれを楽しんでいる棒であった。

早速WEBで検索したところ、ジンマン/チューリッヒ・トーンハレ管は古楽器的演奏で有名であることがわかった。知らぬは私のみだった。

なお検索で見つけたブログ「トロンボーン吹きによるクラシックの嗜好」のR. シューマン:交響曲全集/ジンマン [ARTE NOVA]によれば、

トーンハレ管は特に古楽器オケという訳ではないのですが、今回は金管には古楽器 (ナチュラル・ホルン、ナチュラル・トランペット、バロック・トロンボーン) を使用しており、

とある。ホルンとトランペットについては、私の見誤りかもしれない。そうであってもなくても、非常にすばらしい演奏で満足した。

茂木大輔氏の指揮

2005年12月27日 (火)

NHK交響楽団主席オーボエ奏者の茂木大輔氏といえばクラシック音楽の枠にとらわれない音楽活動でも有名である。茂木氏は最近は指揮も手がけているようだ。次のコンサート評茂木大輔隊長と名曲の森探検隊 第7回/「“第九”初演の時は、こんな風だった!」を読んだ。

茂木の作り出す音楽は、オーケストラ・プレーヤーゆえか、ビートがはっきりとしていて、停滞することがない。弦楽器のノン・ヴィブラートや開放弦の使用や木管楽器の独自のアーティキュレーションなど、さまざまなアイデアも施されていた。

これって、どうみても古楽器オーケストラの演奏法である。と、演奏会タイトルを見ると“第九”初演の時は、こんな風だった!なので、初演に近いスタイルでの演奏を目指したことが想像できる。最近はモダンオーケストラでも古楽器的表現が流行っている。古楽器オタクの私としてはそれはそれで嬉しい。しかし反面、モダン楽器で古楽器的表現を使用して古典派時代の音楽を演奏することに矛盾を感じてはいる。無理して古楽器的表現を真似しなくても良いのに、と。また、古楽器的表現は古楽器オケに任せれば良いのだ、とも思う。とはいえ、ギトギトのモダンオーボエ吹きと思っていた茂木氏が古楽器的表現を目指したことは私的には素朴に嬉しい。

ちなみに私は、茂木氏が指揮の勉強を始めたころ、彼の指揮に接したことがある。当時の氏の指揮の腕前はまあ素人より少しマシ程度だったが、経験に裏打ちされた様々な意見はさすがだった。そして何よりも、すばらしい音楽だった。着々と指揮の実績を上げていることが今回のコンサート評でわかった。

ベルリンフィルって下手になった?

2005年12月7日 (水)

映像でベルリンフィル演奏会を見た。その感想。

先日アップロードした記事衛星デジタル音楽放送「SPACE DiVA」と、元祖衛星デジタル音楽放送「ミュージックバード」のとおり、私は衛星デジタル音楽放送を2局契約している。これらは音声のみである。これ以外に、映像の音楽専門衛星放送の

クラシカ・ジャパンも契約している。このチャンネルはスカパーで見ることができる。

昨晩何気なくクラシカ・ジャパンを見たら、次の演奏会を放送していた。

ベートーヴェン:交響曲第8番ヘ長調●[指揮]クラウディオ・アバド[演奏]ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団[収録]2001年2月11日ローマ聖チェチーリア音楽院ホール、約34分

1楽章の途中から見た。最初はどこのオーケストラかわからなかった。かなり雑で、リズムも乱れ、音が汚い。と思ったら、指揮者の顔が映った。なんとアバド。オーボエのマイヤーの顔が見えたので、ベルリンフィルとわかった。うーむ、完璧で機械のようなベルリンフィルが、どうしてこんなにひどい演奏をするのだろう。

弦の中でも、ヴァイオリンが良くない。以前と比べて若手が増えているようなので、そのせいだろうか。もしくは、イタリア演奏旅行でメンバーがいつもと違うのだろうか。

ただ木管は良かった。オーボエのマイヤーと、クラリネットのトップ(フックス?)は極めてすばらしかった。弦のレベルが下がった、ということだろうか。

さて今年の8月頃の話である。車を運転しながらFMを聞くと、モーツァルトのシンフォニーをやっていた。上記の演奏なんてものではない、極めてひどい演奏。私はてっきり日本のオケか、と思った。最後にアナウンスを聞いて吃驚。ラトル指揮ベルリンフィルだった。

その数日後、やはり車を運転しながらFMを聞くと、モーツァルトの別のシンフォニーをやっていた。今度はすばらしい演奏だった。モダン楽器のオーケストラで演奏するモーツァルトとしては最上級の演奏と思った。最後にアナウンスを聞いてこれまた吃驚。オケは同じベルリンフィル。そして指揮は、古楽の雄、クリスティだった。

アバドもラトルも、ベルリンフィルとは相性があまり良くないのではないか。そしてベルリンフィルは、相性の悪い指揮者での演奏レベルが以前より低下したのではない

か。私はそのように思っている。

指揮者vs.オーケストラ

2005年12月2日 (金)

朝日新聞記事巨匠ロストロポービチ氏、突然の降板 劇場と対立について。次の事実とのこと。

ロシアのチェロの巨匠で指揮者でもあるロストロポービチ氏(78)が、ボリショイ劇場でのプロコフィエフのオペラ「戦争と平和」の指揮を、今月6日に予定された初日を前に突然キャンセルし、議論を呼んでいる。

 最終的に、同氏の求めた16度の追加練習を「物理的に無理」と劇場側が拒否し、29日に降板が決定。劇場側は、同劇場の音楽監督で40代のベデルニコフ氏を代役に立て、初日も3日ずらして9日にすることにした。

たとえいくらオーケストラのレベルが低いといっても、プロのオーケストラに「16度の追加練習」を求めるとは尋常ではない。プロオーケストラのシンフォニーのコンサートの練習は、5時間の練習を3,4回程度が普通だろう。オペラの場合はもう少し多いとしても、多くて10回だろう。16回とは、アマチュアオーケストラ並みだ。いや、アマチュアオーケストラでも、1演奏会について16回の練習を行うところはほとんど無いはずだ。

記事では次のようにイズベスチヤ紙の見解を伝えている。

イズベスチヤ紙は、同氏の完全主義に対する劇場側の困惑や楽団員のベデルニコフ氏支持が「練習の手抜きにつながった」とし、問題の背景に集客重視の商業化が進むロシアの音楽界の変化と世代対立を指摘している。

ロストロポービチは完全主義かもしれない。チェロ奏者としては、20世紀を代表する二人の一人。(もう一人はカザルス。)音楽に対しては完璧主義だろう。しかし彼はアメリカでそれほど上手くないオーケストラも指揮していることから、ボリショイオーケストラが少しくらい下手でも「我慢」はできるはずだ。そしてボリショイオーケストラは、荒いが下手ではない。ということは、ロストロさんとボリショイオケの間で音楽以外の裏に隠れた事情で深い対立があり、ロストロさんは降板したくなって「16回追加練習」の要求を持ち出した、と私は思っている。

 

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