指揮者vs.オーケストラ

2005年12月2日 (金)

朝日新聞記事巨匠ロストロポービチ氏、突然の降板 劇場と対立について。次の事実とのこと。

ロシアのチェロの巨匠で指揮者でもあるロストロポービチ氏(78)が、ボリショイ劇場でのプロコフィエフのオペラ「戦争と平和」の指揮を、今月6日に予定された初日を前に突然キャンセルし、議論を呼んでいる。

 最終的に、同氏の求めた16度の追加練習を「物理的に無理」と劇場側が拒否し、29日に降板が決定。劇場側は、同劇場の音楽監督で40代のベデルニコフ氏を代役に立て、初日も3日ずらして9日にすることにした。

たとえいくらオーケストラのレベルが低いといっても、プロのオーケストラに「16度の追加練習」を求めるとは尋常ではない。プロオーケストラのシンフォニーのコンサートの練習は、5時間の練習を3,4回程度が普通だろう。オペラの場合はもう少し多いとしても、多くて10回だろう。16回とは、アマチュアオーケストラ並みだ。いや、アマチュアオーケストラでも、1演奏会について16回の練習を行うところはほとんど無いはずだ。

記事では次のようにイズベスチヤ紙の見解を伝えている。

イズベスチヤ紙は、同氏の完全主義に対する劇場側の困惑や楽団員のベデルニコフ氏支持が「練習の手抜きにつながった」とし、問題の背景に集客重視の商業化が進むロシアの音楽界の変化と世代対立を指摘している。

ロストロポービチは完全主義かもしれない。チェロ奏者としては、20世紀を代表する二人の一人。(もう一人はカザルス。)音楽に対しては完璧主義だろう。しかし彼はアメリカでそれほど上手くないオーケストラも指揮していることから、ボリショイオーケストラが少しくらい下手でも「我慢」はできるはずだ。そしてボリショイオーケストラは、荒いが下手ではない。ということは、ロストロさんとボリショイオケの間で音楽以外の裏に隠れた事情で深い対立があり、ロストロさんは降板したくなって「16回追加練習」の要求を持ち出した、と私は思っている。

 

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