アンサンブル・ヴィンサント演奏会

2006年2月9日 (木)

次の演奏会を聴いた。

三宮正満&アンサンブル・ヴィンサント デビューコンサート
2006年2月8日(水)
日本福音ルーテル東京教会

バッハ:協奏曲 ニ長調[BWV42-1068-1054]
Johann Sebastian Bach(1685-1750)
Concerto in D major from BWV42/1-1068/2-1054/3

ゼレンカ:「ヒポコンドリア」 イ長調 ZWV187
Jan Dismas Zelenka (1679-1745)
“Hipocondrie” a 7 Concertanti in A major ZWV187

パッヘルベル:「カノンとジーグ」 ニ長調
Johann Pachelbel(1653-1706)
Canon & Gigue in D major

バッハ・オーボエとヴァイオリンのための協奏曲 ニ短調 BWV1060R
Johann Sebastian Bach(1685-1750)
Concerto for Oboe & Violin in D minor BWV1060R

テレマン:オーボエダモーレ協奏曲 イ長調 TWV51:A12
Georg Philipp Telemann (1681-1767)
Concerto for Oboe d’more in A major TWV51:A12

ゼレンカ・8声のシンフォニア イ短調 ZWV189
Jan Dismas Zelenka (1679-1745)
“Simphonie” a 8 Concertanti in A minor ZWV189

メンバー:
三宮正満:オーボエ(リーダー)
荒木優子:ヴァイオリン・ソロ、
川久保洋子:ヴァイオリン1
長岡聡季:ヴァイオリン2
山口幸恵:ヴィオラ
懸田貴嗣:チェロ、
西澤誠治:コントラバス
鈴木優人:チェンバロ
尾崎温子:オーボエ2、
功刀貴子:ファゴット

三宮正満氏はバッハ・コレギウム・ジャパンのソロオーボエ奏者。その三宮氏が自分の古楽器アンサンブルを組織し、そのデビューコンサートだった。日本の古楽器界の貴公子またはイケメンと言われているが、この演奏会はまさに貴公子のイメージにふさわしい演奏会だった。

プログラムによれば、アンサンブル・ヴィンサントのコンセプトは次のとおりである。

音楽」と言えば、思い出される名旋律の数々。これらの「バロックの名曲」はなぜかコンサートの場ではなかなか聴くことができません。ヴィンサントでは、長年親しまれてきた名曲を、古楽器でじっくりと聴いて頂きたいと思っています。一方、図書館の奥に眠っている出版もされていないようなとてもマイナーな作曲家でも新たなる「バロック名曲」となり得る音楽も紹介し、有名曲と無名曲の二本立てで皆様に楽しんで頂こうと思っております。

プログラムはこのコンセプトに則った盛り沢山の曲目だった。

三宮氏の音は、いつもバッハ・コレギウム・ジャパンで聴いている音色だったが、初めて氏の音を聴いた聴衆は予想と違って少し驚いたかもしれない。普通のバロックオーボエの音色は素朴さを感じさせるが、氏の音色は素朴さは全く無く、輝きがありビロードのような肌触りの音色である。

さて、前半のメイン曲の「バッハ・オーボエとヴァイオリンのための協奏曲 ニ短調 BWV1060R」は、三宮版といえる版。BWV1060のチェンバロ協奏曲のチェンバロ独奏パートをチェンバロパートにかなり流用し、チェンバロパートが通奏低音パートから「格上げ」された編曲である。三宮氏の意図はおそらく「オーボエ、ヴァイオリンとチェンバロのための協奏曲」としたかったのだ、と思う。また最近流行のハ短調ではなくニ短調としたことも特徴だった。ハ短調は音が暗くくすんでしまうが、ニ短調としたことでヴァイオリン・オーボエが輝きをもって響いていた。ただチェンバロはもう少し音量のある楽器を使用したほうが効果的だったかもしれない。演奏は、速めのテンポで颯爽と駆け抜けた3楽章が素晴らしかった。

メイン曲の「ゼレンカ・8声のシンフォニア イ短調 ZWV189」は本当に素晴らしい演奏だった。そもそもこの曲は技術的に極めて難しい。すべてのパートが難しい曲なのだ。そしてとりわけオーボエに、極端に難しいと思われる部分があった。三宮氏のその演奏、完璧だった。ヴィルティオーゾというにふさわしい演奏だった。

三宮氏以外の演奏家も素晴らしかった。ファゴットの功刀氏の音程の良さには驚嘆した。バロックファゴットは音程が非常に難しい楽器なのに、完璧な音程。また2ndオーボエの尾崎氏のアンサンブルテクニックも見事だった。2ndオーボエは目立たないがある意味では1stオーボエより難しい。その難しさを聴衆に感じさせない演奏だった。また、メンバーが皆音楽を楽しんで演奏していることが良くわかる演奏であることも良かった。

日本の古楽器界のレベルの高さがよくわかった、素晴らしい演奏会だった。

 

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