もしすべて比例区なら

2007年7月31日 (火)

29日投票の参議院選挙について。選挙結果は民主党圧勝、自民党惨敗という結果になった。このような極端な差のつく選挙は大変危険だ。何が危険って、ヒトラーが現れたらあっという間に9割以上の支持となり両院は独裁政党がほとんどの議席を持つ、ということにもなりかねないからだ。

だから前回の衆議院選の小泉圧勝は大変危険だった。その逆のパターンが今回の結果に過ぎないのだ。

振り子が大きく揺れることになる原因は、無党派層と言われている。私に言わせればその原因は無党派層というより、感情・ムードで政治を判断する「国民」だ。マスコミの小泉提灯持ち、そして手のひらを返したような安倍バッシング。それに乗って何も考えない「国民」。この「国民」の存在が選挙結果を大きく揺らす結果になるのだ。だいたいかつての話だが小泉支持が8割を超えたなんて異常も異常。ヒトラー寸前、つまり独裁政権寸前だったと思う。

しかし「国民」の存在だけでは選挙結果が2回連続で極端に振れることにはならない。ほとんど誰も指摘していないが、その大きな原因は選挙制度だ。

そもそも小選挙区は比例区に比べ極端な結果になり易い。今回の参議院選での改選数121のうち、選挙区は73、比例区は48。改選数で見ると選挙区は比例区の1.5倍もあるのだ。そして選挙区は、衆議院の小選挙区ほどではないが小選挙区と見なせるだろう。つまり参議院選では極端な結果をもたらしやすい小選挙区が比例区の1.5倍なのだ。

さらにそもそも、参議院は法案のチェック機能がメインの良識の府でなければならない。ということは、参議院はそのときの意見を極端に反映した小選挙区では良識あるチェック機能を果たせない。国民・市民の意見を満遍なく反映するためすべて比例区とすべきと私は考える。

さて今回の参議院選がもし選挙区なしですべて比例区のみだったらどうなっていたろうか。計算してみた。非常に興味深い結果が出た。

政党名 選挙区得票数 比例区得票数 合計得票数 得票率(%) 理論当選者数 実際の当選者数
自民 18,606,193 16,544,696 35,150,889 29.72 36 37
民主 24,006,817 23,256,242 47,263,059 39.96 48 60
公明 3,534,672 7,765,324 11,299,996 9.56 12 9
共産 5,164,572 4,407,937 9,572,509 8.09 10 3
社民 1,352,018 2,634,716 3,986,734 3.37 4 2
国民 1,111,005 1,269,220 2,380,225 2.01 2 2
日本 0 1,770,697 1,770,697 1.5 2 1
諸派 477,182 1,264,848 1,742,030 1.47 2 0
無所属 5,095,168 0 5,095,168 4.31 5 7
合計 59,347,627 58,913,680 118,261,307 100 121 121

左の「選挙区得票数」、「比例区得票数」は、本日(7月31日)朝日新聞第12版の数字だ。その2つを足し合わせたフィールドがその右の「合計得票数」。その右はその「合計得票数」の「得票率(%)」。

そして右から2番目の「理論当選者数」が、すべて比例区と仮定したときの理論当選者数。一番右は今回の選挙結果の「実際の当選者数」である。

この結果から次のことがわかる。

  1. すべて比例区としても自民党の当選者数はほとんど変わらない。つまり自民党の惨敗は明らか。
  2. 民主党はすべて比例区にすると12人の減。自民よりは多いが今回の結果ほど圧勝とはならない。
  3. 公明党はすべて比例区にすると3人増。3割増ということになる。
  4. 共産党はすべて比例区にすると7人増。なんと3.3倍になる。
  5. 社民党はすべて比例区にすると2人増。2倍になる。
  6. 国民新党は変化無し。
  7. 新党日本、諸派は1,2名増。その他は2名の減。

いかがだろうか。自民党と民主党の結果は、すべて比例区にすると市民・国民の感じている割合に近いのではないだろうか。

そして共産党だけが突出した結果だ。つまり、もしすべて比例区なら7人増で3.3倍となり、公明党とほとんど同じサイズ、自民党の約1/4のサイズとなる。ということは、共産党に投票してもほとんどが死に票となるのだ。市民・国民の支持からみると共産党は本来は公明党とほとんど同じ得票の政党なのだ。

社民党も共産党ほどではないが同じ傾向だ。

民主主義の本質は少数意見の尊重のはずだ。そう考えると、一部の政党の当選者数を極端に少なくするこの選挙制度は異常だ。今の選挙制度の裏の主目的は、共産党の追い落としなのではないか、私にはそのように思えてくる。そしていまの選挙制度の決定には民主党の小沢党首がかつて大きな役割を果たしたことも忘れないでおこう。

(このブログでは、政治を論理的に考えることのできる人を「市民」、考えることができずに感情・ムードで政治を判断する愚民を「国民」と記している。)

 

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