参議院選結果の再考と二大政党

2007年8月6日 (月)

先週の参議院選を受けて私はこのブログに記事もしすべて比例区ならを書いた。その中で私は、参議院は選挙区は不要であり比例区のみとすべきであると述べ、今回の参議院選が比例区のみだったと仮定して当選者の試算を行った。その結果はその記事をご覧いただくとして、その先を考えなければならない。

最初に検討すべきことは、この試算の正当性である。この試算が国民・市民の総意を反映しているのなら正当といえるが、残念ながら完全には反映はしていない可能性が大なので正当なものではない。あくまでも一定の傾向は判断できる「試算」である。その理由は、有権者が選挙区と比例区により票を使い分けた、ということである。選挙区は小選挙区なので死に票が出るため票を有効に行使するためには(意にそぐわなくても)二大政党から選ばなければならない。逆に比例区は小政党への票も生きるので自分の意中の政党に投票できる。ということは、今回の参議院選の選挙区の票数は国民・市民の純粋な意思を反映したものではなく、二大政党に偏った票数と考えられる。もし選挙制度が比例区のみだったら、二大政党の票数は減り小政党の票が増えた可能性が大である。

そこで試算の続編として、比例区の得票数のみで当選者数を試算してみた。

政党名 試算1(選挙区+比例区) 試算2(比例区) 実際の当選者数
自民 36 34 37
民主 48 48 60
公明 12 16 9
共産 10 9 3
社民 4 5 2
国民 2 3 2
日本 2 4 1
諸派 2 2 0
無所属 5 0 7

試算1は前回のブログ記事の数字で、選挙区+比例区の総得票数による議席配分。試算2は比例区のみの得票数による議席配分。
この表から次のことがわかる。

  1. 自民は比例区のみ配分では34議席と、宇野内閣時より少なくなる。この数字が全面に出れば安倍さんは辞めざるを得ないだろう。
  2. 民主は試算ではどちらも48。実際は60議席だったので選挙区の恩恵を最も得た政党は民主党だ。
  3. 組織が固い公明は比例区のみ試算では大躍進。
  4. 共産、社民は試算の方法により1名の増減があるのみ。

ということで、2つの試算を披露した。どちらが本当の民意に近いかは不明だが、現在の選挙制度が民意を反映した結果にならないことは確かである。民主党の得た60議席のうち12議席、つまり1/5は選挙制度による「利得」ということになる。

となると問題は、議席数は民意をできるだけ正確に反映すべきなのか、その必要はないのか、ということになる。

私の意見は、先の記事で述べたように、参議院はチェック機関でなければならずかつそこは良識の府の必要があることから、ブレが少なくかつ民意をできるだけ反映する結果となる選挙制度が望ましい、と考える。つまり参議院は比例区のみだ。

参議院と比べ、衆議院は民意を「若干」拡大した結果となるほうが良い、と考える。理由は、政権交代の機会の増大だ。日本の政治の腐敗の主な原因は、政権交代がほとんどなかったからと考える。政権交代の緊張はすべての政党に必要なのだ。そのためには、安定した結果となり易い比例代表制よりは、少し選挙区の小さな選挙制度が望ましいと考える。しかし現在の衆議院選挙の小選挙区は小さすぎるので結果が極端になり易い。前回衆議院選の小泉圧勝のように。従って、以前の中選挙区程度かそれより大きなサイズが望ましいと考える。

ここで逆の思考も必要になる。現在の小選挙区の結果生まれたのが、自民・民主の二大政党だ。この小選挙区制度のせいで、小政党は埋没してしまった。ならば、日本には同じような規模のいくつの政党が必要なのかを考え、それを実現しやすい選挙制度を次に考えなければならない。

さて日本には政党がいくつ必要だろうか。私は現在の二大政党では少ないと考える。つまり、現在の二大政党はどちらも右派なのだ。左派の受け皿は小政党しかないのだ。左右両派の受け皿がほぼ同数、が望ましい政党数と考えている。具体的には、私の理想の日本の政党は次のとおりだ。

  • 最右派政党
    現在の自民党・民主党の最右派から構成される政党。
  • 中道右派政党
    自民の大半と民主の一部から構成される政党。
  • 中道左派政党
    民主の大半と社民党から構成される政党。
  • 最左派政党
    民主の一部と市民運動家から構成される政党
  • 環境政党
    地球環境保護・地球生物と人間との共存をメインスローガンとする政党。旧来の左派・右派のカテゴリーとは別。

共産党は上記には含めない。彼らは上記政党に含まれるつもりは全く無く、ずっと独自路線を歩むと思われるからだ。それから、日本の政党に宗教は不要と考える。

このような政党がほぼ同じ規模で存在すれば、日本の政治は大変面白くなる。合従連衡が必須となり、政治に緊張が生まれるからだ。政策・法案毎に別の組み合わせとなる可能性もあり、この緊張感は政治の質を高め「国民」の政治意識を高めること間違いない。

このような4~5大政党は小党乱立のイタリアのように政治の混乱を長く招くので避けるべきだ、という意見が必ず出ると思う。しかし私は、政治の混乱の何が悪いのか、と思う。そもそも日本人は議論を避ける傾向がある。小泉前首相のように議論を封ずるとは論外。政治の混乱が活発で生産的な議論を生めば、これは日本の政治にとって大きな進歩となること必定だ。

 

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